会長挨拶

巽 申直 (茨城大学)

Tatsumi Nobunao

 この度、平成21年度から3年間にわたり、会長の任を仰せつかりました巽申直です。杉江正敏前会長の力量に及ぶべくもありませんが、「日本の伝統文化の継承」という社会からの期待に応えるべく成果を出してゆくことが、これからの我々、剣道人(会員)に課せられた責務と考え、微力ではありますが身を尽くす覚悟です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 日本武道学会は昭和43年8月、日本武道館における第1回大会を契機に発足いたしました。当時、私は武道学科に在籍する一学生でしたが、多くの先生や先輩方が武道学会の立ち上げに奔走され、学会発表に尽力される姿を目の当たりにしました。以来、40有余年を経た今、改めて、武道学研究第1号(大会号)の編集後記にある「武道の学問的研究の深化」という一文を顧みて、本学会に寄せられる期待と要請に対して、身の引き締まる思いがいたします。

 見渡せば、教育基本法の改正に端を発し学習指導要領が改訂され、平成24年度から中学校の武道が必修となるなど、剣道普及の追い風が吹いております。

 こうした中、剣道専門分科会ではこの春、その名も『剣道を知る事典』という単行本を東京堂出版から刊行しました。本書は、「稽古」「技術」「試合」「審査」「生涯剣道」「施設・用具」「普及発展」「剣道小史」といった8章から構成され、それぞれの項目について学術的な見地から執筆され、分科会会員各位の近年に至る研究成果が結集されたものとなっています。また、資料編では、剣道関係文献一覧、全日本剣道選手権大会・世界選手権大会の概要、剣道の歴史年表なども配し、全日本剣道連盟の後援もいただきました。剣道界にとって画期的な本書が、剣道愛好者のみならず一般の人々にも広く愛読され、剣道に対する理解が浸透してゆくことを願ってやみません。そうして広がる漣が、先人の努力の賜物として今日ある剣道の未来を築く力となり、我々、剣道人の更なる思考の深化の礎となることを確信しております。

 最後になりましたが、会員の皆様方の益々の御健勝と御活躍を心から祈念して、ご挨拶とします。


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