専門分科会

第1回 日本武道学会少林寺拳法専門分科会

 第1回目となる日本武道学会少林寺拳法専門分科会が2023年9月5日、大阪教育大学で開催され、約20名の会員が参加しました。この分科会は、少林寺拳法の教えや技法を学術的観点から研究し、今後の少林寺拳法の普及発展に寄与していくことを目的に設立しました。
 記念すべき第1回目の分科会では、一般財団法人少林寺拳法連盟の宗昂馬会長をお招きして記念講演を開催し、武道授業をテーマとしたシンポジウムや実践報告を通じて、会員らは理解を深めていました。


【1】基調講演「可能性の種子」 一般財団法人少林寺拳法連盟 宗昂馬 会長

 宗会長は「自分の人生を振り返り、今の社会を見つめた時、“人は夢をもつことよりも、自分はどんな人間になりたいかを考えることが大切”と思うようになった。」と自分を振り返ることの大切さを強調。「社会では、何かが起こればその原因を環境のせいにすることが多いが、私は“環境は栄養”だと思っている。それは、自分を成長させる(成長させてくれる)のは環境やきっかけであるから。自分には何ができるかを考える習慣(時間)を大切にしつつ、自分の心の声を聞く習慣(時間)も大切にしてもらいたい。」と参加者に呼びかけた。


【2】シンポジウム
  〇演者
   牧野 英一(練馬区立開進第二中学校 校長)
   中島 正樹(富士見丘中学高等学校)
   秋元 宏介(一般財団法人 少林寺拳法連盟)
  〇司会
   高坂 正治(国際武道大学)

 オンラインで発表・参加した牧野先生は「(生徒たちは)予測不可能な時代を生き抜く力、そして状況に応じて臨機応変に最適解を導き出す力を、少林寺拳法で身につけることができる」と話し、自身の中学校での少林寺拳法教室の取り組みについて事例発表し、外部指導者の活用についても話した。
 シンポジウムでは牧野先生の発表を通して、地域部活動の可能性や学校現場における少林寺拳法の普及方法について様々な意見交換がなされた。

【3】実践報告
  報告Ⅰ:「武道における間合に関する研究~少林寺拳法の間合のとり方~
                        藤原 豊樹(東京理科大学)

  報告Ⅱ:「様々な武道を学ぶ授業づくり~中学校武道授業推進に向けて~」
                        新名主 公哉(鹿児島県少林寺拳法連盟)
 

 技能や戦法にも関連する重要な要素である間合について、藤原先生は三次元位置座標を用いた科学的な研究結果を発表した。

 新名主先生は、少林寺拳法のほかにも他武道の段位資格をもつ。自信の経験を活かしながら、少林寺拳法と他の日本の武道との関連性に注目した授業づくりについて事例報告をした。

【4】専門分科会総会 
 〔議案〕
   第1号議案 少林寺拳法専門分科会規約について
   第2号議案 少林寺拳法専門分科会役員について
   第3号議案 令和5年度事業計画、予算について
   第4号議案 その他

   全ての議案について承認した。